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なつめとデーツは、似ているけど違う食べ物です!
なつめとデーツ(なつめやし)の違いとは
棗(なつめ/ナツメ)と「なつめやし=デーツ」は、一般的に混同されがちです。
ドライフルーツにした時の外観と呼称が似ていることがその理由だと思われます。
こちらでは、その違いを詳しく紹介します。
なつめとデーツは別の果物?
棗(なつめ/ナツメ)を販売していると「これ、デーツよね!?」とよく聞かれます。それもそのはず、この2つは、見た目が似ていて、デーツは「ナツメヤシ」の果実であることから「デーツ=ナツメヤシの実=なつめの実」となってしまいがちです。同じ植物の仲間かと思い調べてみると全く違う植物で、全く違う果実だと判明。
ちなみに、ナツメグ(英語:
Nutmeg)も名前が似ていますが、常緑高木ニクズクの種子(ナッツ)であり語源が「棗」ではなく見た目も全く異なります。主に挽いた粉末を香辛料として用い、「なつめとデーツ」ほどの混同はみられません。
「ナツメヤシ/デーツ」とは?
この写真をご覧ください。まさしくヤシの木です! そしてデーツは、このナツメヤシの木になっている黄色がかった果実です。もの凄い量です! 最盛期には1シーズンで150kg近く収穫できます。木になった状態で熟すのを待つと茶褐色になります。
とても栄養価が高く、中近東諸国では日常的に食べられており、世界中に輸出されています。
「なつめ」とは?
木からして既に別物です。棗(なつめ/ナツメ)は、見た目が梅やリンゴといった果実の木に似ています。
ナツメヤシのデーツに比べると、なんだか実が付くボリュームが少なく感じてしまいます。
なぜ間違うの?
次に両方の果実を見てみましょう!
画像で比べてみると違いが判ります! 形やシワの入り方などが似ています。
この果実の形とシワや「ナツメヤシ」「なつめ」の名称が似ていることで、よく一緒の果実と間違われるのではないかと思われます。
棗椰子(ナツメヤシ)は、中国語だと「海棗」となり、やはり「棗」という漢字があてがわれています。
一方、英語で棗(なつめ/ナツメ)は「Jujube」のほか、「 Chinese date(チャイニーズ・デーツ=中国のナツメヤシ)」や「Red
date(赤いデーツ)」という呼ばれ方もします。西洋でも、似たものと思われているようです。
中国など東アジアでは、伝統的に栽培されている棗(なつめ/ナツメ)のほうが馴染みがあります。西洋からはデーツの産地である中近東が近く、デーツの認知度のほうが高いのは不思議ではありません。知っている身近なものに例えて、東西でそれぞれ「棗のヤシ(なつめやし)」「中国のデーツ(なつめ)」という意味で呼ぶようになったのかもしれません。
輸送が格段に進歩した現在、地理的な距離が遠い中近東からデーツが日本に盛んに輸入されるようになりました。デーツを知っている人々が、棗(なつめ/ナツメ)をデーツと見間違えるのでしょう。
しかし「棗(なつめ/ナツメ)」の学名は「Ziziphus jujuba」。一方「なつめやし=デーツ」(英語名:Date palmまたはDate)の学名は「Phoenix dactylifera」です。両方とも舌を噛んでしまいそうな正式名称ですが、全く異なるということは一目瞭然です。
次は、さらにその違いを細かく見ていきましょう。
なつめとデーツの違いとは?
そもそも種類が“違う”
棗(なつめ/ナツメ)は、クロウメモドキ科の落葉高木(らくようこうぼく)です。高さは5〜15メートルになります。熟れるとリンゴのように赤くなる楕円形の果実は、生で食べることが出来ます。生の実の大きさは、だいたい幅1〜3cm・長さ2〜5cmです。品種によっても異なりインドナツメは、幅6cm・長さ7cmの巨大サイズになります。
棗(なつめ/ナツメ)は、幅5mmぐらいの小さな可愛らしい花が咲き、よく見ると黄緑色の花びらが5つあります。地域の気候によって前後しますが棗(なつめ/ナツメ)は、だいたい5月~7月に開花して、早ければ8月頃に実がなります。収穫できる旬の時期は8月中旬~11月初旬の頃です。
棗(なつめ/ナツメ)の語源は、初夏に芽吹き花を咲かせることから「夏芽(なつめ)」と呼ばれるようになったという説もあります。 植物の分類は多岐に渡ることから、界→門→綱→目→科→属→種と分けられており、棗(なつめ/ナツメ)は「バラ目/クロウメモドキ科/ナツメ属/ナツメ種」と分類されています。植物は、とにかく多くの種類があります。
※APG植物分類体系より引用
一方、ナツメヤシ(デーツ)は「ヤシ目/ヤシ科/ナツメヤシ属/ナツメヤシ」と分類されています。見た目の通りヤシの仲間で、雌雄異株の常緑高木(じょうりょくこうぼく)です。木の背丈は15メートル~20数メートル。特徴的な羽状複葉の葉は6メートルにもなります。
苗木は実がなるまでに4〜8年を要し、7〜10年すると収穫量が増えてきます。挿し木をすると、苗木より2~3年早く実がなります。木の寿命は100~200年。果実は楕円形で、幅2~3cm・長さ2〜8cmです。生育するには水はけの良く乾燥した砂壌土の必要があります。寒さに弱く、砂漠で育つ数少ない植物として定着しています。
このような特殊な性質のため、栽培地域には限界がありますが、欧州では温暖で乾燥帯のスペイン南部で生育します。日本では沖縄で目にすることはありますが、寒暖差があり湿潤な日本本土での栽培には向かない作物であり、輸入に頼らざるをえません。
分類体系の図を見るとバラ目とヤシ目は、かなり離れていて、近縁種でないことは明らか。果実の見た目は似ていますが、そもそも種類がちがう植物ということが分かります。
もちろん原産国が“違う”
棗(なつめ/ナツメ)の原産地は、中国や西アジア、南欧と諸説あります。南ヨーロッパから中国・西アジアへ伝わったという説や中国が原産国という説もあります。実際に調べてみると「原産国は中国」と記載されている情報が圧倒的に多数派です。ちなみに日本国内でもなつめは栽培されており、年間の収穫量は6.6トン(2018年データ)。そのうち、福井県が97.1%と独占的なシェアで1位となっています。
ナツメヤシ(デーツ)の原産国は、正確には分かっていません。いにしえの昔から栽培され世界で最古の農作物のひとつともいわれ、品種が非常に多く広範囲に広がっていることから本来、自生する地域がどこだったのか定かではないようです。ただ、収穫量の多い国は中東諸国であるため、その辺りが原産国ではないかと考えられています。
世界の年間収穫量(2019年データ)は900万トンを超え、生産ランキングは1位のエジプトが160万トン、2位サウジアラビアが154万トン、3位イランが130万トンの収穫量であり、日本ではほとんど収穫されていません。
日本ではデーツを輸入しており、その量は年間1530トンほどです。
棗(なつめ/ナツメ)の輸入量は統計データが見当たりませんので一概には言えませんが日本では、棗(なつめ/ナツメ)よりデーツの方が圧倒的に流通しているようです。
そして味や食感が“違う”
天日干しをした乾燥なつめをそのまま食べたことはありますか?
皮がパリッとし、中はフワッとしており、この食感は身近なもので例えるものが見当たりません。棗(なつめ/ナツメ)の乾燥状態により、皮が固く食べにくいものも正直あり、好みがわかれるところでもあります。なつめいろの看板商品である「なつめチップ」は、その食べにくさを改善する為に加工しています。
また、皮が固くなるまで乾燥させず、半生状態でたべると一般的に乾燥した状態で販売されている棗(なつめ/ナツメ)よりもおいしく食べることができます(なつめいろスタッフの感想)。
味は、それほど強くない甘みと少しの酸味が感じられます。酸味が苦手な方は、加工したなつめチップをおすすめします。
デーツの方は、既によくご存じの方も多いかと思いますが、食感的には干し柿や干しブドウ、ドライプルーン、干し芋などに似ていると感じます。干し柿が一番近いかも知れません。
乾燥デーツの6~7割が糖質。味は、甘みがしっかりとあり、棗(なつめ/ナツメ)のような酸味は一切ありません。
疲れている時やエネルギーをチャージしたい時には、とても欲しくなる味で、コーヒーを飲みながら食べると最高です(なつめいろスタッフの感想)。
実は、カツやお好み焼きにつける濃厚で甘みの強いソース(例:オタフクソース)の原材料にも、デーツが使われています。デーツは、棗(なつめ/ナツメ)とは似ても似つかぬ「味と食感」です。
だから栄養成分も……?
種類、原産国、味や食感などなつめとデーツの違いを紹介してきました。比べれば比べるほど違う果実ということが分かってきたのではないでしょうか。
そもそも「植物の種類が違い、原産国も違い、味や食感も違う」となれば、栄養素も全く違うと思っていたのですが、なんと栄養素に関しては、とても似ていることが分かりました。
カリウム、カルシウム、マグネシウム、鉄、亜鉛、銅、ナイアシン、パントテン酸、等々。ほとんど共通している栄養素が含まれています。それでは、栄養素の含有量を比較してみましょう。
栄養成分表
なつめ チップ |
なつめ (乾燥) |
デーツ (乾燥) |
成人女性 30~49歳 推奨量 |
効能 | |
---|---|---|---|---|---|
タンパク質 | 8.2g | 3.9g | 2.2g | 50g | 皮膚・毛髪を作る |
カリウム | 1000mg | 810mg | 550mg | 2600mg以上 | むくみ解消 |
葉酸 | 23μg | 140μg | 19μg | 240μg | 貧血肌の新陳代謝 |
亜鉛 | 1.3mg | 0.8mg | 0.4mg | 8mg | 肌の新陳代謝 精神安定 |
マグネシウム | 52mg | 39mg | 60mg | 290mg | 精神安定 |
カルシウム | 73mg | 65mg | 71mg | 650mg | 精神安定 |
鉄分 | 1.8mg | 1.5mg | 0.8mg | 10.5mg (月経あり) |
貧血肌の新陳代謝 |
ナイアシン | 1.7mg | 1.6mg | 1.8mg | 12mg | 二日酔い 脂質の代謝 |
パントテン酸 | 1.47mg | 0.86mg | 0.94mg | 4mg | 抗ストレス作用 エネルギー代謝 |
食物繊維 | 15.3g | 12.5g | 7.0g | 18g以上 | 便秘解消 |
※100gあたりの成分量 なつめチップ以外は五訂日本食品成分表より
なつめとデーツの栄養を比較「どちらがいいの?」
鉄分やカルシウム、カリウム、マグネシウムなどのミネラル、葉酸やナイアシンなどのビタミンB群、食物繊維などが豊富で、栄養価が高い棗(なつめ/ナツメ)。見た目と名称が似ているデーツ(なつめやし)との栄養成分の違いを比較してみましょう。
温活に重要!「たんぱく質」は2倍
乾燥デーツ100gあたりのタンパク質の含有量が2.2gなのに対して、大棗(乾燥なつめ)は100gあたり3.9g、なつめチップでは8.2gのタンパク質を含有しています。同じドライフルーツ状態では、約1.8倍、大棗(乾燥なつめ)のほうが多くなっています。成人女性の摂取量の目安は1日50g。
参照:正しいダイエットとタンパク質~赤ちゃんの肌がみずみずしい理由~|オーソモレキュラー栄養医学研究所
水分を調整!「カリウム」は1.5倍
乾燥デーツ100gあたりのカリウムの含有量が550mgなのに対して、大棗(乾燥なつめ)は100gあたり810mg、なつめチップでは1,000mgのカリウムを含有。棗(なつめ/ナツメ)のカリウムはデーツの約1.5倍。成人女性のカリウム摂取量の目安は1日2,600mgです。
棗(なつめ/ナツメ)はカリウムの含有量も多いので、足がつりやすい山登りのおやつとして、過去に雑誌に紹介されたことがあります。
参照:余分な塩分を体外へ排出させるカリウム|厚生労働省e-ヘルスネット
妊活に必須!「葉酸」は7倍以上
細胞の分裂や成長に欠かせない働きを担っている葉酸の含有量は、乾燥デーツ100gあたり19μg。対する大棗(乾燥なつめ)は100gあたり140μg、なつめチップでは23μgの葉酸を含有しています。乾燥状態では、実に7倍以上の差があります。
参照:造血のビタミンとも呼ばれ、胎児の正常な発育に寄与する栄養素「葉酸」|わかさの秘密
お肌の代謝や妊婦にも大事!「亜鉛」は2倍
乾燥デーツ100gあたりの亜鉛の含有量が0.4mgなのに対して、大棗(乾燥なつめ)は100gあたり0.8mgと2倍。なつめチップでは1.3mgの亜鉛を含有しています。この差は歴然です。
参照:亜鉛は、300種以上の酵素と関わっている|オーソモレキュラー栄養医学研究所
骨格に必須!「マグネシウム」はデーツが1.5倍
乾燥デーツ100gあたりのマグネシウムの含有量が60mgなのに対して、大棗(乾燥なつめ)は100gあたり39mg、なつめチップでは52mgのマグネシウムを含有しています。同じドライフルーツ状態では、約1.5倍デーツのほうが多くなっています。成人女性の摂取量の目安は1日290mgです。
イライラを緩和!「カルシウム」はデーツが10%多い
乾燥デーツ100gあたりのカルシウムの含有量が71mgなのに対して、大棗(乾燥なつめ)は100gあたり65mg、なつめチップでは73mgのカルシウムを含有。同じドライフルーツ状態では、9.2%デーツのほうが多くなっています。カルシウム摂取量の目安は成人女性で1日650㎎。
参照:カルシウムで骨の健康を守る|LOTTE Medi Palette
鉄分の含有量は2倍! 女性の元気の源「鉄分」
乾燥デーツは、100gあたり0.8mgの鉄分を含有しています。一方で大棗(乾燥なつめ)100gあたりの鉄分含有量は1.5mg、なつめチップでは100gあたり1.8mgと約2倍です。
棗(なつめ/ナツメ)に含まれる鉄分は植物性の非ヘム鉄です。たんぱく質やビタミンCと共に摂取すると鉄分の吸収が促進されるそうです。
※鉄分の摂取量の目安は、成人女性で月経のない場合は6.5㎎で、月経のある場合は10.5㎎です。
参照:貧血の予防には、食生活の見直し|厚生労働省e-ヘルスネット
代謝アップ!「ナイアシン」は僅差
大棗(乾燥なつめ)は100gあたり1.6mg、なつめチップでは1.7mgのナイアシンを含有しています。乾燥デーツは100gあたり1.8mgで、僅かな差ながら上回りました。
ナイアシン摂取量の目安は、成人女性で1日に10㎎NE~13㎎NEです。
参照:お酒を分解するナイアシン|オーソモレキュラー栄養医学研究所
「パントテン酸」はデーツが10%多い
乾燥デーツ100gあたりのパントテン酸の含有量が0.94mgなのに対して、大棗(乾燥なつめ)は100gあたり0.86mg、なつめチップでは1.47mgのパントテン酸を含有しています。同じドライフルーツ状態では、9.3%デーツのほうが多くなっています。パントテン酸の摂取量の目安は、成人女性で1日に5㎎。
参照:糖質、脂質、たんぱく質を燃焼させる酵素を助けるパントテン酸|グリコ栄養成分百科
毎日スッキリ!「食物繊維」は2倍
乾燥デーツ100gあたりの食物繊維の含有量が7.0gなのに対して、大棗(乾燥なつめ)は100gあたり12.5g、なつめチップでは15.3gの食物繊維を含有し、約2倍です。
食物繊維の摂取量の目安は、成人女性で1日18g以上。多めに摂るのがよいとされています。
なつめが少しリード!
10の栄養素を比較した結果は、大棗(乾燥なつめ)が6対4でリードしました。(ドキドキしましたが、ちょっとホッとしました。)
中には、なつめは「葉酸」で7倍以上と嬉しい結果も!
番外編で「熱量(エネルギー)」は、大棗(乾燥なつめ)が287kcalなのに対して、デーツが266kcalです。カロリーは高いほうがよいのか、低いほうがよいのか考え方によって異なりますので、甲乙をつけるのは難しいでしょう。いずれにしても、僅かな差でした。ではこの後に、なつめとデーツの嬉しい効果もご紹介します。
効果・効能
棗(なつめ/ナツメ)の栄養成分は、胃腸虚弱や冷え症、貧血、精神不安など、女性が抱えがちな健康の悩みの解決に期待が持てるものです。「葉酸」の含有量は特に多いため、妊活をしている女性にうれしい果物です。
棗(なつめ/ナツメ)とデーツには、人の体内で生成され老化の原因となる活性酸素を取り除いてくれる「ポリフェノール」が含まれています。更年期障害やアレルギーをやわらげ、脂肪の消費や美肌効果といった美容作用もあると言われています。
ポリフェノールの摂取量の目安は、成人女性で1日1,000~1,500mg。しかし実際には、それより少ない800mgほどしか摂取されていないと見られています。ポリフェノールは、長く身体に留めておくことが出来ないため、小まめに摂取する方が効果的です。
デーツは濃密な甘みがあるため「きっと太りやすいのでは?」と思いきや、血糖値の上がりやすさを表すGI値(グリセミック・インデックス値)が31-50と低いため、糖尿病や肥満が気になる人でも適量であれば安心な数値だそうです。
デーツは、強い甘味があるのにダイエット効果が期待できる自然食なのです。ダイエット中にどうしても甘いものが食べたくなったら、デーツを食べると心が安らぐことでしょう。
これまで一緒に見てきたデーツも、量はそれぞれ若干の強弱はありますが、栄養素がバランスよく含まれており、日々の食生活にぜひ取り入れたい果実です。
棗(なつめ/ナツメ)もデーツも遥か昔から現代に至るまで食べられ続けている理由が分かった気がします。そんな「なつめ」と「デーツ」の歴史も紹介したいと思います。
なつめの歴史
棗(なつめ/ナツメ)の歴史を調べてみると、約3,000年~4,000年ほど前から栽培されていたという情報にたどり着きます。上記の説明でも記載しましたが、主に中国が原産国とされており、後漢から三国時代に作られた方格規矩四神鏡(ほうかくきくししんきょう)に「上有仙人 不知老 飲玉泉 飢食棗」といった銘文があったそうです。
※奈良文化財研究所 参照引用
日本では、万葉集(759年~780年頃編纂/へんさん)に棗(なつめ/ナツメ)を詠んだ歌が2首登場することから奈良時代(710年-794年)には、棗(なつめ/ナツメ)が伝えられていたといわれています。
原文
「玉掃 苅来鎌麻呂 室乃樹 與棗本 可吉将掃為」
「成棗 寸三二粟嗣 延田葛乃 後毛将相跡 葵花咲」
古墳・飛鳥時代の上之宮遺跡(奈良県)は、聖徳太子が過ごしたという説もありますが、そこから棗(なつめ/ナツメ)の種子が出土しています。また、奈良時代に「棗郷(なつめごう)」という名の荘園が福井県にあったとされています。
世界三大美女のひとり、楊貴妃(719年~756年)が棗(なつめ/ナツメ)をこよなく愛した話はよく知られています。時期が近いことから「楊貴妃の美しさの秘密としてなつめが日本に伝えられたのかも……」と想像するとロマンを感じます。
デーツ(ナツメヤシ)の歴史
デーツ(ナツメヤシ)の歴史はというと、なんと紀元前6千年紀にはすでにナツメヤシの栽培が行われていたと考えられており、アラビア東部では、紀元前4千年紀に栽培されていたことを示す考古学的証拠も存在します。 古代メソポタミア文明の頃から栽培され食べられ続けているデーツは、既に7千年以上の歴史があるということです。デーツは歴史的に、砂漠に暮らす人々の重要な栄養源でした。保存が効くため長く過酷な旅をするアラブのキャラバン隊の携行食であり、またナツメヤシの実や種子は、ラクダなど家畜の飼料にもなります。オアシスとナツメヤシのある風景は、とても絵になります。
ラマダン(断食月)には日没後に食事をする前に、胃を慣らすためにデーツを食します。イスラム教の神アッラーの啓示を受けた預言者ムハンマドは、断食後にデーツをまず食したという伝説があります。イスラム教の聖典コーランには「神の与えた食物」と記されています。今日、最高級品はアラブの王室御用達となっています。
旧約聖書に記載されている「エデンの園の果実」はデーツともいわれています。また、デーツは「世界三大美女のひとり」に数えられるエジプトの女王(ファラオ)クレオパトラが愛したともいわれており、その頃から美容に良い食べ物として認知されていたのかもしれません。現在その美容効果から、デーツエキスがオーガニック化粧品に使われています。
そして大航海時代には、スペインから出港したコロンブスなど冒険家たちが保存食として大量のデーツを船に積み込みました。
なつめとデーツは違うけれども
「棗(なつめ/ナツメ)とデーツの違い……」。種類や原産国、味や食感など全く違う果実ですが、その果実がもたらす栄養素は、文化や歴史が違う世界でも同じように書物に記載され、伝えられ、人々が羨む美女に愛されていたようです。ここまで、棗(なつめ/ナツメ)とデーツは違う果実だと伝えるために調べてきましたが、そんな違いよりも、それぞれの果実の良さをしっかりと知り、取り入れることが「私たちにとって一番大事であり幸せなこと」かもしれません。
なつめいろでは、デーツは取り扱っていませんが、将来的には取扱いしたい果実だと感じました。
国際薬膳調理師/ナチュラルビューティースタイリスト 清水 朝子
デーツの食べ方
どのように食べたらよいのか分からない場合、乾燥デーツをそのまま食すだけでも、甘みが口いっぱいに広がり美味です。
デーツは強い甘味のため、お菓子やクッキー、ケーキなど、砂糖不使用のヘルシーなスイーツが作れます。おつまみ、ゼリー、ジャム・ペーストなどにも用いられ、ミルクやマフィンにも良く合います。ヨーグルトの中で乾燥デーツを戻すだけでも1品できあがりです。
お餅を入れてぜんざいにしたり、酢漬けやスープ、ポタージュ、ワイン煮、ポテトサラダといったレシピもあります。朝食にデーツとバナナのスムージーを、夜はワイン漬けを頂くと最高です。ラム酒漬けも、なんとも言えない深い味わいがあります。
なつめの食べ方
まだまだ、日本では馴染みのない「棗(なつめ/ナツメ)」。馴染みがないぶん「食べ方はどうしたらよいの?」と思う方も多いようです。なつめいろでは、棗専門店として、おいしい食べ方を日々考案していますので、いくつかご紹介します。
なつめチップを使ったレシピ
「メープルシュガーの米粉サブレ」
カロリーも抑えられミネラル豊富なクッキー
グルテンフリーの米粉サブレ。なつめチップのサクッとした食感とサブレのホロホロ食感が楽しめるクッキーです。メープルシュガーがほんのり香る素朴なおやつです。メープルシュガーは、白いお砂糖に比べるとミネラルが豊富でカロリーも抑えられる女性に嬉しい食材です。
材料
製菓用米粉 75g
塩 ひとつまみ
無塩バター 60g
〇粉糖 10g
〇メープルシュガー 10g
〇アーモンドパウダー 10g
無調整豆乳(牛乳でも可) 8g
なつめ茶のアレンジレシピ
「なつめラテ」
なつめとミルクのが良く合います
なつめ茶のアレンジです。なつめのほんのり甘い味に泡立てたミルクが良く合います。
お好みでスパイスを入れてみると味にしまりが出てさらに美味しく頂けます。
材料
なつめ茶ティーパック 1個
水 200cc
牛乳 50cc
シナモンスティック 1本
アニス 1個
なつめの実を使ったレシピ
やわらかなつめの「甘酒の白玉ぜんざい」
寒い季節にぴったりな温かいおやつ
寒い季節に頂くぜんざいに甘酒を加えたアレンジぜんざい。
米糀はコメに麹菌をつけて増殖させた発酵食品で、麹の酵素が新陳代謝を高めます。
消化機能を高めて胃もたれや下痢を改善したり、疲労回復や美肌効果も期待できます。
もちもちの白玉と、やわらかなつめの異なる食感が楽しめる温かいおやつです。
材料
〇甘酒(米糀) 100g
〇ゆであずき 100g
〇水 50g~(濃さはお好みで)
〇やわらかなつめ 4粒 ※煮る前に種をとった方が食べやすいです
塩 少々
「白玉」
白玉粉 50g
水 45~50g
上記以外にも「なつめのレシピ」は、たくさん用意しております。
ご興味のある方はこちらもご利用くださいませ。